日々の暮らしを愉しむ

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愛情を注いでみると

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Photo by Y.Suga



いっとき、誰もが信じられなくなってしまったときがあった。
お店はそれでも動いていなくてはならなくて
日々の流れを少しも変えてはならない状況、
そしてそれらを見守る人たちの目すら怖くて、信じられなくて。

でも、そんなときでも唯一、
パン生地たちだけには無償の愛情を注ぐことができた。

それはまだ真夜中にパンを仕込んでいた頃。
しーんと静まりかえった店内で
材料を捏ね機に入れて混ぜ込んでいく。

だんだん材料たちは仲良くなっていって
やがてはひとつにまとまって”つるん”とした生地になっていく。

そのさまを眺めていると
このコたちだけは愛おしく感じられることができて
生地が出来上がると
「生まれてきてくれてありがとう。
 あったかいお部屋に移ってゆっくり休もうね。」
と話しかけながら発酵機へと生地をそっと移していく・・・

その作業の積み重ねなのだが
その時間だけは至福の時間だった。

誰もいなくて、信じられるコたちだけに囲まれて
愛情を注いでみれば、その分このコたちは
ゆったり、のびのびと育って
やがては美しい焼き色といい香りを放って
オーブンから焼き上がってくる。

庭の草木もそうだ。
お水をただあげるだけではなく、話しかけたりすると
それだけで成長の仕方は変わる。

月日が経って、様々なことを克服しつつ
人は信じられるようになった。

そしてそれプラス、今も変わらずパン生地たちには
愛情を注いで日々作っている。
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by mignon0701 | 2011-09-29 09:04